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by okphex
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出アフリカ期。

Markey, S. 2007. "Skull Is First Fossil Proof of Human Migration Theory, Study Says". In National Geographic News January 12.より

長らく大学の書棚に置かれていた頭骨の化石が、人類の歩みを辿る上で大きな役割を果たしてくれそうです。

この頭骨は、考古学の調査チームが南アフリカで発見した、3万6000年前の古い人類のもので、7万年から5万年前にアフリカからユーラシアへと現代人類が移住していった過程の、これまで明らかになっていなかった部分を明らかにするものではないかと、人類学者達の期待を集めています。現代人類は、19万5000年前に東アフリカで登場し、その後南アフリカ、そして中東やヨーロッパ、さらにオーストラリアへと”出アフリカ”したと言うのが現在の定説です。しかし、7万年から1万5000年の間の人類の化石が発見されていないため、これまでその歩みの詳細は謎となっていました。

しかし、南アフリカで出土した3万6000年前頭骨が、おそらく同時代に位置すると思われる、ロシアで発見された人類の歯と加工品、そしてヨーロッパで最古の現代人類の化石と強い類似性を備えていることから、現代人類は東部アフリカを出た後、一部は南アフリカに、そして4万年前にヨーロッパ大陸の中央、西部に移住するよりわずかに早く、ロシアを含む東部ヨーロッパに移動したという足取りが掴めてきたのです。

この時期は、移動に適した環境どころか、厳しい氷河期の真っ最中で、そんな状況下でこれほどの長距離を移動した現代人類の移動にかけるエネルギーは驚くべきものがありますね。もちろん生存のための環境を求めての移動という側面ももちろんあったでしょうが、当時の人々が、どのような熱意を持って新天地に向かっていったのか、とても興味が湧きました。古い頭骨は何も語りませんが、それでも多くのことを教えてくれますね。

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ありがとうございました。
by okphex | 2007-01-14 06:23 | 人類学・人文科学