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写真関連のニュースと写真ギャラリー,そして文化人類学に関する記事を掲載しています。


by okphex
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メル・ギブソンの情熱が,古代の言語を復活させる。

"ニュース"コーナーでも触れた,メル・ギブソン監督監督の話題作,"The Passion of the Christ"について再び採り上げます。
"ニュース"コーナーでは,独特の宣伝手法という観点からこの作品を紹介しましたが,ここでは,メル・ギブソンの細部にまでこだわった演出が,意外な方面に効果を及ぼしたことについて採り上げます。

CBSNEWSの記事

この作品では,当時の服装や町並み,さらには俳優の顔だちや瞳の色まで徹底的に考証を重ね,キリストが生きた時代を見事に再現しています。
それだけではなく,この作品で俳優が話している言語は,英語ではなく,当時の共通語であったアラム語が用いられています。

現在,アラム語は一部の地域や宗教施設で用いられている以外は全く使われていない言語であり,近い将来にこの言語が消滅するのでは,と危惧されていました。

しかし,この映画によってアラム語の存在が注目される事で,この言語の保存に弾みがつくのでは,と言語学者も期待しているようです。

歴史や宗教,人種的な解釈が大きな議論を呼んでいるこの作品ですが,こういった別の観点からも,この映画を観る事を楽しみにしています。

余談ですが,この映画は,劇中で使用している言葉だけでなく,脚本もラテン語やアラム語で書かれているそうです。関係者は脚本を読むのも大変だったでしょうね。
そして,この作品でキリストを演じているジム・カヴィーゼルは,テレンス・マリック監督作品"シン・レッド・ライン"以来個人的に注目していた俳優なのです。彼がどんな素晴らしい演技を見せてくれるのか楽しみです。
by okphex | 2004-02-28 06:08 | 人類学・人文科学