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by okphex
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コミュニティとは。

アメリカのろう文化 (明石ライブラリー)

明石書店



文化人類学の取り組む大きな課題として、「人はなぜ、集団を作りたがるのか?」「どのような要因が、集団のまとまりをもたらす核となるのか?」といった、集団形成に関わる問題があります。
コミュニティについての研究は、上記のような問いに取り組む中で培われていった分野の一つです。

現在『アメリカのろう文化』(ウィルコックス 2001)という本を読んでいますが、ちょうどその中で、社会学者のジョージ・ヒラリーによるコミュニティの定義について触れていました。
ヒラリーによると、コミュニティにおいては、1.人々は共通の目的遂行のために協力しあい、2.内部の成員同士は、自らの社会生活についてある程度の決定権を有しているとしています。
この定義は、理念型としてのコミュニティを定義する上で、過不足なくポイントを抑えているように思えます。
しかし問題は、現実に一つのコミュニティとみなされる集団は、成員全員が必ずしも共通の目的を共有していなかろうが、成員のうちの何割かが自らの行動や生活についての決定権を著しく制限されている状態でも、結構成り立ってしまっているところにあります。

それでは、コミュニティを定義することに一体どのような意味があるのでしょうか?僕は、コミュニティの凝集性を前提として議論を始めるよりも、むしろ行動の上でも思想信条の上でも、かなり分散している状態にある人々同士が、一体いかなる意図や条件に応じて、状況に応じて、同じコミュニティに属することを選択的に受け入れるのか、という段階から話を始めた方が、現実のコミュニティ形成の複雑さを掬い上げることが可能ではないかな?と考えています。

あらゆるコミュニティを目的指向型集団として定義することよりも、こうした曖昧な紐帯で結びついた集団としてのコミュニティを考えてみることも「あり」ではないかと思うのですが、どうでしょうか!?
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by okphex | 2010-09-24 04:17 | 人類学・人文科学