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by okphex
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Philosophizeする。

現在僕が通っている大学院では、定期的に開催されるゼミで、院生同士が研究内容をそれぞれ発表していきます。
その発表に対する指導教官の指導内容は、いつも手厳しいのですが、大変的確なもので、”もっと研究の深化を目指そう”という意識を刺激されます。

今回集中して議題となったのは、”いかに良い問いを立てるか?”という研究上もっとも根本的な部分でした。それを先生は、”Philosophy(哲学)するのではなく、Philosophize(哲学的に思索する)せよ”と表現されていました。先生がアメリカの大学院に留学していた時に、常に指導教官から言われていた言葉だそうです。

研究を始めるに当たって、”私は何を明らかにしたいのか?”を突き詰めることがまず出発点となる。”私は何を知りたくて、それを知るためには何を調べる必要が会って、その結果どのようなことが明らかになるのか”という問いをくり返す。その過程で最初の問いはその後別の形に変化してもいっこうに構わない(むしろ思索と調査を深めることで、最初の前提が変化していくことは当たり前)。”良い問い”とは何か、を求める姿勢を忘れてはならない、というのが、先生の主張です。

「日本の論文は、”問い”ではなく、”説明”から始まる場合が多い。これでは疑問も反論も出ようがなく(なぜなら、説明している本人以上にその事案に詳しい人はその場にいるはずないから)、議論の深化が期待できず、退屈なものとなってしまう」とも指摘されていました。

僕の論述形式が、典型的な”説明病”にかかっているので、この指摘は耳に痛かったのですが、一つ思索の地平が拓けました!勉強って、面白いです。
by okphex | 2010-05-28 23:46 | 人類学・人文科学