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写真関連のニュースと写真ギャラリー,そして文化人類学に関する記事を掲載しています。


by okphex
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前後の文脈を飛ばした引用ですが、中沢氏は自著で、贈与行為の機能を、等価交換と対比する形で以下のように述べています。
”贈与はいっさいの等価交換を否定する。贈与の空間の中に入った「もの」たちは、どれも個性的な顔を持っている。その個性を、単純な価値に還元して、お互いを比較しあって値踏みしあったりすること(筆者註:等価交換のことだと思われます)を、この空間はまっさきに否定するのだ。どの「もの」も、単純な意味、単一の価値でできていない。それぞれが個性と複雑さをそなえている。だから、そういう「もの」どうしを等価交換しあったりできない、というのが、贈与の精神の原則なのだ。
ここでは、あらゆる存在や価値や意味が、おたがいに向かい合って、呼びかけをおこなったり、対話したり、場所を移動したり、結婚したり、分かれたり、またくっついたり、子供をつくったりするのである。送り手と受け取り手、語り手と聞き手が、ここでは共通の領土を共有しあって、その中でおたがいに影響をおよびしあいながら、未知の構造をつぎつぎとつくりだしていくのだ。等価交換が支配している世界では、そのような「創造」は原理として不可能だ。ものの変態はおこっても、新しい構造の創造はおこらない。存在の本質的な様態のつくりかえをもたらす、ハイデッガーの言う「転回(ケーレ)」は、ただ贈与的な世界でしかおこらないようにできている。”[中沢 2009:191-192]
上記の記述は、「贈与」と「等価交換」の違いと、それらの差異が社会に及ぼす影響を指摘した、スリリングな記述だと考えます。

純粋な自然の贈与 (講談社学術文庫)

中沢 新一 / 講談社


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by okphex | 2011-02-28 23:52 | 本の言葉
撮影という仕事柄、片膝をつく姿勢をとることが多いのですが、最近左膝が、伸ばした時に異音がするようになりました。まるで外れた関節が元に戻ったかのような、「ゴキッ」という音です。今のところ、異音がする瞬間に若干膝の違和感を感じる程度で痛みはないのですが、何とも気味の悪い状態です。
ネットで調べてみたら、膝の腫れや半月板の損傷などの可能性があるとのこと。膝は結構使うことが多いので、疲労が蓄積しているのかもしれません。痛みが出ないうちにいつもお世話になっている整形外科の先生に診てもらおうと思っています。

以前は右の膝を痛めて、暫く歩くことに不自由したことがありました。その時に左膝に負担をかけてしまったことも原因かもしれません。いずれにしても、膝を痛めると思った以上に日常生活に支障が出ますので、同じように膝の変調を自覚している方は、早めに専門医に診てもらうことをお薦めします。
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by okphex | 2011-02-27 23:59 | 日々の文章
現在、僕が文化人類学の学生研究者として、2008年までフィリピンで収集した、多くの方々の証言を記述し、それぞれの関係を検討しています。

この作業の中で、僕が規則としているのは、「証言の客観的な事実性を求めない」というものでした。つまり語っている内容が事実であれそうでないのであれ、真偽を問うことには価値をおかず、証言者達が一体どのような必然性や理由でそのような証言を僕に語ったのかについて知ろうとしています。

こうした、集めた証言に対する立ち位置について、村上春樹氏が「ナラティブ(物語)の集合体」という言葉を使って、同じような指摘をしていることを知りました。

村上氏はこのように語っています。”…僕はあの本(『アンダーグラウンド』)を、「ノンフィクション」だとは考えていません。もちろんフィクションではない。しかしノンフィクションでもありません。僕としてはそれをむしろ「物語(ナラティブ)の集合体として考えています。僕がインタビューした人々は、事件の被害者たちは、みんなそれぞれに語るべき個人の物語(ナラティブ)を持っていました。彼らはたしかにそこで事実を語りました。でもそれは百パーセントの事実ではありません。それらの事実は彼らの経験を通して目にされた光景です。これはひとつのナラティブです。…ノンフィクションは事実を尊重します。でも僕の本はそうではありません。僕はナラティブを尊重します。それは生き生きとしたものであり、鮮やかなものです。それは正直なナラティブです。僕が集めたかったのはそういうものなのです。…彼らの語ったことはすべてが真実である必要はありません。もし彼らがそれを事実だと感じたのなら、それは僕にとっても正しい真実なのです。…ナラティブのうちのあるものが誤った情報であるとしても、それは問題にはなりません。インフォメーションを総合したものが、その相対が、ひとつの広い意味での真実を形成するからです。”[村上 2010:340-341]
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by okphex | 2011-02-26 20:35 | 本の言葉
新たに搭載したインターフェース「Thunderbolt」は、USB3.0の2倍、FireWire 800の12倍、USB2.0の20倍以上のデータ転送能力を誇るそうです。
現在のMacBook Proの性能にも不満はありませんが、このMacを使うことができる人が正直羨ましい…。
ラインナップは、13インチモデルがIntel Core i5 2.3GHzモデル(108,800円)、Intel Core i7 2.7GHzモデル(134,800円)。15インチモデルがIntel Core i7 2.0GHzモデル(158,800円)、Intel Core i7 2.2GHzモデル(189,800円)。17インチモデルがIntel Core i7 2.2GHzモデル(214,800円)となっています。
Apple Store (Japan)
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by okphex | 2011-02-25 23:16 | カメラ・写真情報
昨日テレビで「小説家を見つけたら」という映画を観ました。
ガス・ヴァン・サント監督、ショーン・コネリー、ロブ・ブラウン主演

この映画は劇場公開時にも既に映画館で観ていたのですが、当時も今も、小説家の執筆の仕方や心構えに興味を持っていた僕自身は、今回久しぶりに見ても面白く鑑賞できました。

前回観た時と比較して、「おお」と思ったことは、日常的な執筆のあり方でした。ショーン・コネリー演じる老小説家は、「最初にタイプする時は何も考えるな。ひたすら書け。その代わり見直す時に頭を使え」と言っていました。これは奇しくも、現在僕が読んでいる村上春樹氏のインタビュー集で、彼自身が語っていた彼の執筆姿勢と重なり合うところがあり、妙に心打たれました。古今東西、ものを書くことを生活としている人は、執筆経験を積む中で自ずから姿勢や方法が似てくるものなのでしょうね。

僕も自分の研究についての論文を、上記のような著明な小説家とは比較にならない駄文で書き続けて、400日を超えました。書き上げた文章を日々読んでいると、ショーン・コネリー扮する小説家のように、感覚で見事な文章を書き上げることができるような境地に至るまで、まだまだ修行が必要そうだということを痛感します。
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by okphex | 2011-02-24 23:37 | 日々の文章
サンデル氏著『これからの「正義」の話をしよう』の第5章にあたる、哲学者カントに関する章を読みました。長かった…。彼の哲学の背骨となる、「正義」に対する哲学と「定言に基づいた命法」について、具体的な例に基づいて議論していたので、ともすれば読み手が迷路に陥ってしまいがちな主題について、納得しつつ読むことができました。

その例について幾つか挙げると、「喜んで人を助ける人の行為は、道徳的なのか?」、「人殺しに対して嘘をつくことは許されるのか?」、「クリントン元米大統領の、『不適切な関係』という弁明は正義に反する行為なのか?」といったものです。カントの主張によれば、これらの問いはいずれも「ノー」ということになるそうです。その理由を解明する際に、この章が表題としている「動機に着目せよ」という言葉が重要な意味を帯びてきます。そしてこれらの議論を手掛かりに、カントの「定言命法」という概念を明らかにしていきます。

本章の議論はなかなか考えさせるものがあります。それは、カントの「定言命法」が、必ずしも僕たちが普段「道徳的」と考えている振る舞いや考え方と、表面的にはそぐわない部分を含んでいるからです。

機会を見て、その理由をここで議論してみたいと思いますが、疑問に思った方は是非とも本書の該当部分を読んでみられることをお薦めします。

これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学

マイケル・サンデル / 早川書房


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by okphex | 2011-02-23 22:43 | 本の言葉
ニュージーランド、クライストチャーチを襲った地震は、その被害の全容はまだ明らかになっていませんが、邦人11人をふくむ多くの方ががれきとなった建物に閉じ込められているものと考えられます。

クライストチャーチは僕の知人も滞在していたことがある場所だけに、地震の被害がとても気になっています。
建物がひしゃげていたり、原型を留めないほど崩壊してしまった様子をニュースの中継で見て唖然としてしまいました。恐らく、これまであまり大きな地震に遭遇したことがなかったのでしょうね…。

とにかく被害がこれ以上大きくならないことを祈るばかりです。
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by okphex | 2011-02-22 23:29 | 日々の文章
3月1日は多くの学校で卒業式が行われますが、その時に卒業生の皆さんに渡す記念品の製作に追われています。
一生の思い出になるといいなー、と思いながら一つ一つ作っています。
どんなものを制作したのか、また報告できるといいなー、と思っています。
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by okphex | 2011-02-21 23:58 | 日々の文章
「玄牝」オフィシャルサイト

河瀬直美監督の映画を初めて劇場で観ました。

この映画は、愛知県岡崎市の吉村医院という産婦人科を主題としたドキュメンタリー映画で、この産婦人科に集う妊婦さん達や、助産師さん達、そして吉村先生の語りや出産に至るまでの生活を描いています。

以前に岡山のサンクリニックという病院で吉村先生の講演を聴いたことが縁で、この映画を知りました。川瀬監督自身がフィルムカメラを回して、現場に密着して撮影したとのこと。久しくデジタル画像ばかり見ていた眼には、フィルム独特の繊細かつ豊かな質感が、強く印象に残りました。

広島では横川シネマで上映しています。ぜひ劇場に足を運んで下さいね。
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by okphex | 2011-02-20 23:02 | 日々の文章
久々に写真展についての情報です。
ホンマタカシ氏は現在美術家として多方面で活躍していますが、「ホンマタカシ ニュー・ドキュメンタリー」という彼の個展が金沢21世紀美術館で開催中です。
作品だけでなく、展示手法も独自の工夫を凝らしていて、空間全体を「アート」としている展覧会のようですね。
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by okphex | 2011-02-19 12:32 | 写真展・イベント情報