『単一民族神話の起源』
2010年 02月 07日
小熊英二氏の著作、『単一民族神話の起源』を読みました。
本書では、「日本民族」の概念がどのような変遷を辿ったのか、主に論壇や学問的な潮流を題材に検討しています。戦前の日本では、日本民族とは、多くの民族に起源を持つ「混合民族」であるとする考え方が優勢でしたが、戦後になって急速に「単一民族」としての姿が立ち上がって来たといいます。
「日本人」という考え方が、これほど短い期間に大きく変化してきたということに驚きました。ちょっと戦中、戦後に行われた議論の流れについて、分析が駆け足でやや物足りなかったことと、政治的な動きと学術的な議論がどうリンクしていたのかについてもう少し知りたかったという感想はありますが、これ程までの膨大な議論を一冊にまとめた労力と業績は、絶賛に値すると思います。
by okphex
| 2010-02-07 05:58
| 書籍