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by okphex
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二酸化炭素がもたらす意外な影響。

"SCIENTIFIC AMERICAN.com"の記事"Man-made Carbon Dioxide Emissions Collect in Oceans, Putting Marine Life at Risk"より

近代以来の、急激な工業化と都市化の進行に伴う、化石燃料使用量の急激な増加が、大気中の二酸化炭素に悪影響を与えていることは以前からも指摘されていました。

確かに、1800年以降の大気中の二酸化炭素の量は急激に増加しており、地球規模の気温上昇や異常気象との関連性も無視できない状況となりました。

しかし、大気中の二酸化炭素の増加量は、人為的に排出された二酸化炭素量から推定される総量の約半分の量に留まっています。

それでは、残りの半分はどこへ行ってしまったのか?



最近の研究により、海が莫大な二酸化炭素の貯蔵庫としての役割を果たしていることが分かりました。しかもその貯蔵許容量は莫大なものと推定されています。

そんなに便利な自然の貯蔵庫があるんなら、二酸化炭素の増加にそんなに神経質にならなくてもいいや…、なんて呑気な結論には、もちろんなりません。

海に溶け込んだ二酸化炭素量の増加は、海水を酸性に変え、炭酸塩イオン類の量を減少させます。そして炭酸塩イオン類の不足は、海水に含まれる炭酸カルシウムの溶解を引き起こし、結果としてプランクトンやサンゴそしてある種の軟体動物など、個体の成長・維持のために炭酸カルシウムを必要とする海洋生物に悪影響を与えるのではないか、と考えられています。

もちろん、そのような劇的な環境変化が、単に一部の生物に対する影響に留まるはずはなく、地球規模の環境変化につながることは容易に想像できます。

とはいえ、現在のところ、人為的な二酸化炭素の排出をいきなり大幅に減少させるといった、非現実的な対処法しか根本的な解決策はありません。科学の最先端技術をもってしても、現状における調査・観測と、将来の影響を予想することくらいしか手が打てないとは…。
何とも歯痒い思いです。
by okphex | 2004-07-23 19:29 | 人類学・人文科学