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写真関連のニュースと写真ギャラリー,そして文化人類学に関する記事を掲載しています。


by okphex
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彗星の衝突と人類とダイアモンド。

今回は、写真ニュースではなく、インターネット上の人類学に関する興味深い記事についてご紹介します。

McKie, R. 2007. Diamonds tell tale of comet that killed off the cavemen. In Guardian Unlimited.より

太古の地球をのし歩いていた恐竜たちが、巨大隕石の衝突に伴った環境の激変によって滅びたというのは、有力な学説として知られていますし、数多くの映画や物語の題材ともなっています。

そしてこのほど、現生人類の移動にも、地球規模の異変が関係していたらしい…、という調査報告を地球物理学者の研究グループが発表しました。

この研究グループは、約13000年前に一つの彗星が地球に衝突したと思われる痕跡を発見しました。その痕跡とは、ヨーロッパ、カナダ、北米に広がる微細なダイヤモンドが多分に含まれた地層です。調査に携わった地球物理学者によると、これほど広大な地域にわたる地層が形成されたのは、炭素を豊富に含んだ核を持つ彗星が北半球に衝突した可能性が高いということです。ダイヤモンドは、炭素に高熱と強い圧力をかけることで生じます。つまり、彗星に含まれた炭素が、衝突の衝撃でバラバラに砕け散り、さらに衝突によって生じた膨大な熱と火災が、炭素の組成を変化させたというのです。

しかし、砕け散ったのは彗星だけではありませんでした。当時の地球上はマンモスなど大型の哺乳類が闊歩し、ヨーロッパやアジアでは初期人類が文明を発達させつつありました。彗星の衝突とその後の環境の激変は、こうした生き物たちに破滅的な状況もたらしました。気候の急激な上昇と、その後約1000年も続いたヤンガードリアス期と呼ばれる亜氷河期の到来は、衝突を生き延びたマンモスたちの食料を奪い、やがて彼らを絶滅に導きました。北米などの初期人類もまたこの気候変動で壊滅的な打撃を受けたといいます。亜氷河期の到来やマンモスなどの大型ほ乳類の絶滅、そして北半球に居住していた初期人類の消失といった現象はこれまでにも知られていましたが、その原因をめぐってはこれまで激しい議論が続いていました。

今回の発見は、これまでの研究をを大きく前進させるものだと研究者たちは主張します。研究のより詳細なレポートは、近くNature誌に掲載される予定です。

まだ彼らの発見は未知数な部分や検証が必要な部分が多く、即座に有力な学説として定着することはないと思われます。しかし今後の研究の進展いかんでは、人類史を大きく塗り替える可能性のある発見だと言えるでしょう。

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ありがとうございました。
by okphex | 2007-05-24 09:11 | 人類学・人文科学