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写真関連のニュースと写真ギャラリー,そして文化人類学に関する記事を掲載しています。


by okphex
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ネズミで辿る、遠洋航海者たちの足跡。

National Geographic Newsの記事より

猫や犬と同様、ネズミも人類の生活に古来から関わってきた小動物です(ほとんどの時代、彼らはあまりありがたくない同居人と見なされていますが)。

人のいるところにネズミあり。彼らはどんなにやっかい者扱いされても、決して人間の側を離れません。

そんな彼らが、今度は古代の人間が辿った道筋を見つける手がかりを与えてくれるかもしれません。

約4万年前にアジアからニューギニアやオーストラリアに移住した人々は、その後ポリネシアの島々にカヌーを使って移動を始めました。
しかし、島々に移住を開始した時期や経路は複雑で、しかも根拠となる手がかりが少なかったため、これまで大きな議論を巻き起こしていました。

この論争の決着のための新たな手がかりを得るために、今回、ポリネシアの島々にいるネズミを捕獲して、そのDNAの変異の様子を調査する研究が開始されました。

本来泳げないはずのネズミが島々に存在するのは、古代の遠洋航海者たちのカヌーに、食料として積み込んでいたネズミが、人間の移住先で繁殖したためとされています。そこで、ネズミが持つDNAの変異の道筋を辿ることで、古代の人々の航跡もまた明らかになると考えられたのです。

移住の経路は複雑なため、ネズミのおかげで全ての問題が解決する訳ではなさそうですが、考古学、言語学、生物学、文化人類学を横断した、とても興味深い研究となりそうです。

この記事にある彫刻の写真をみると、古代の人々も、ネズミは付き合いの長い隣人であることをよく知っていたようですが、まさかネズミをこんな形で利用するとは、思ってもみなかったでしょうね。
by okphex | 2004-06-12 13:52 | 人類学・人文科学