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by okphex
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瘢痕文身。

Lovgren, Stefan 2006 Vikings Filed Their Teeth, Skeleton Study Shows. In National Geographic Newsより。
スウェーデンで発掘された西暦800年~1000年頃のバイキングの人々の遺骨の調査から、貴重な発見がありました。
バイキングというと、角のついた鉄兜を被って、恐ろしげな装飾を施した船に乗って世界中の海で暴れ回っていたという印象が強いかもしれません。確かに、彼等は現在の北欧諸国やイギリス、フランス、さらに北アメリカにまでも積極的に進出、つまりかなり荒っぽい方法で移動し、現在のヨーロッパ北部の各地に定住したとされています。
しかし、彼らは移動した地域を征服したり、略奪するだけではなく、そこで接触した文化を積極的に取り込むという側面も持っていたようです。その証は、彼らの「歯」にありました。

スウェーデンのある人類学者が、発掘された数多くのバイキングの頭蓋骨を調査したところ、そのうちの幾つかに興味深い特徴を見出しました。
その特徴とは、彼らの前歯を横切る水平の溝です。
それらは当初、事故など何らかの突発的な事態によって形成されたものではないかとも考えられましたが、同様の状態の人骨が数多く発見されたことで、これは何らかの意図をもって故意に刻まれたものではないかと考えられるようになりました。

このような加工を歯に施した理由としては、装飾目的というのが最も有力な説のようです。そしてそのような歯を加工する文化はもともとバイキングが持っていたものではなく、どこか別の文化から借用したものではないか、というものでした。

例えば、西アフリカのある地方では、同様の歯の修飾を行う文化が存在していたことが知られています。
異郷での埋葬。でも紹介した通りですね。

また、バイキングが、西洋の歴史観では北アメリカを"発見"したとされる時期より500年前にはすでに北アメリカに到達していたといわれることから、北アメリカや、メキシコにも存在していた歯を装飾する文化をもつ人々と接触し、その慣習をバイキング側が積極的に取り込んでいったのではないか、とも言われています。

なんにしても、バイキングが一般的に普及している、海の荒くれ者というイメージに反して、身体の装飾に敏感で、異文化の要素も積極的に取り込んでいたみたいですね。

それにしても、身体の装飾文化とは本当に面白いですね。今回の事例で取り上げたように、歯など身体の一部を変形して、装飾したり、身体に針などでわざと傷をつけて、その回復過程で盛り上がる傷跡の状態を利用して身体に幾何学模様を描く、あるいは日本の入れ墨やタトゥーなど、人の身体をキャンバスとしてそこに何らかの装飾を施すことを瘢痕文身といいますが、その内容は本当に多種多彩です。

しかし、歯へのやすりがけや、入れ墨を彫るなどの作業は、容易に想像できることですが、大変な苦痛を伴うらしいです!そのことからも、多くの文化では、瘢痕文身は装飾だけではなく、ストイシズムや儀礼的な象徴と見なされています。

痛がりの僕は、瘢痕文身は美しいとは思うけど、その過程を聞いただけでも卒倒しそうになります~。

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by okphex | 2006-02-05 05:15 | 人類学・人文科学