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by okphex
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動物達の"音楽鑑賞"

news@nature.com - 「Monkeys miss out on music」より

日常生活の中で、私たちは常に"音楽"に接する環境にありますね。
何気なく耳にする音楽もあるし、携帯用プレイヤーやレコードから流れて来る音色に耳を傾ける事も多いでしょう。
また、曲を聴くだけでなく、自ら積極的に歌を歌う人も多いのではないかと思います。この時期なら、冬の風物詩となった「一万人の第九」のようなイベントがよく知られていますね。

では、"音楽"を作り、楽しむという行為を、他の動物も行っているのでしょうか?




もちろん動物たちは、様々な状況に応じて、数多くの鳴き声や吠え声を発しています。
森の中にいると、鳥のさえずりはまるで歌を歌っているように聞こえますね。
そしてある種類の鳥や猿は、調子の違う声を組み合わせる事で、会話に近いコミュニケーションが取れるそうです。

ここで問題としているのは、人間にとって心地よく聞こえる音が、動物にとっても心地よいのか、動物も"音楽鑑賞"を行っているのだろうか?という事です。

実は単純に思えるこの疑問について、現在まで確たる答えは得られていないのですが、先日マサチューセッツ工科大学とハーバード大学の認知科学者達が、興味深い実験を行いました。

これは、特殊な形状をした部屋にワタボウシタマリンという猿を入れ、2種類の異なった音楽を部屋の別々の方向から流し、タマリンがどちらの音楽が流れている側に長く留まっているかを観察したものです。
大きな雑音と穏やかな雑音を流した場合では、猿は穏やかな方を好み、また餌を食べる時に発する音と警戒したタマリンの鳴き声を流した場合は、もちろん餌を食べる音の方を選びました。
しかし、衝突音のような、人間には不快に聞こえる音と、心地よい、調和の取れた音楽を流した場合では、その好みには特に偏りはありませんでした。

この研究はそれ程データの蓄積がある訳ではありませんし、チンパンジーのようなより人間に近い霊長類であれば、音楽の楽しみを人間と共有している可能性はありますが、この実験に携わる多くの研究者達は、調和の取れた音楽を楽しむのは、動物の持つ聴覚器官の働き以上に、人間の脳が持つ特別な認識能力によるものではないか、と考えています。

ブレーメンの音楽隊、文明堂のカステラのCM(古い!)のように、童話やアニメでは、楽器を楽しそうに演奏する動物たちが沢山登場しますね。
実際の演奏はともかく、音楽を楽しむ動物たちの姿も物語上のものでしかないとすれば、何だか寂しい気がしますね。
by okphex | 2004-12-18 17:19 | 人類学・人文科学