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写真関連のニュースと写真ギャラリー,そして文化人類学に関する記事を掲載しています。


by okphex
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人間の知能は,遺伝子異常の賜物?

「未来の人類の顔」と称する,頭部を極端に大きく,顎を細くとがらせるようにモーフィングした人の顔の画像を見たことがあります。これは大げさな例ですが,どうも人類の頭の大きさとあごの細さの間には,重要な関連があるようです。

最近,人類の得た巨大な脳は,数百万前の遺伝子異常によるものである,という研究結果が発表されました。

"Early Humans Swapped Bite for Brain" New Scientistの記事

この研究によると,約二百万年前の人類の祖先が,ある時あごの筋肉に関連する遺伝子の欠損異常を起こしたそうです。その結果,その子孫の人類のあごは,徐々に貧弱な形に変化してしまい,それにつれてあごをを動かす筋肉も減少してしまいました。しかし,あごの筋肉は同時に,頭蓋骨を縛りつけ,その発達を阻害してもいたのです。その圧力が弱まったことで,頭蓋骨は大きく成長することが可能となりました。頭蓋骨が成長することで,脳を収納する空間が広がった為,脳もどんどん拡大を続け,現在までに約3倍にまでその容量を拡大した…,ということです。

頭ばっかり使う生活しているから,あごが退化する,という一般のイメージとは,全く逆の調査結果ですね。あごの変形から脳の成長が促されていたとは!

確か,手塚治虫の「火の鳥」でも,似たようなエピソードがあったような気がします。

それまで取るに足らなかった貧弱な生き物が,ふとした遺伝子変異で脳が大きく成長して,地上の征服者として君臨するという…。

以前なら突拍子もないSF物語で片づけられそうな話ですが,今となっては真実をついた話だったのですね。
by okphex | 2004-04-01 20:26 | 人類学・人文科学