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by okphex
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マルクスと「ピュシス的」創造力。

共産主義国家の殆どが地上から消滅した現在、「マルクス」の名前は、哲学においても、経済学においても、あまり見かけることがなくなりました。
しかし、中沢氏のように、マルクスの思想の意味や意義を考えようとする動きもあります。
中沢氏は、マルクスの思想をこのようにまとめています。

"マルクスは人間の潜在的な創造力を、ピュシス的(古代ギリシャ哲学において、『生命を生命たらしめているもの、存在を存在たらしめているもの』を意味した概念)なものであると考えていた。生命は、多様な豊かさを生む、ヴァーチャルな可能性の空間なのである。ところが、近代の資本主義社会では、このピュシス的な生命を、ただちに有用な労働をおこなうための労働力につくりかえてしまうことのできるようになった社会なのだ、とマルクスは考えた。ピュシス的な生命は、時間に計量でき、それを労賃として貨幣で換算できる、抽象的な労働力につくりかえられて、この社会では、さまざまな商品を生産するためだけの能力に変貌してしまっている。マルクスの思想の中では、この労働力を、多様性としてのピュシスとしてとりもどすことが、大きな主題となったのだ。"
[中沢 2009: 130]

マルクスが一体何を乗り越えようとしたのかについては、内田樹氏もほぼ同様の分析をしています。彼等の分析は、「グローバル化」、すなわち資本主義経済を至上とする体制・価値観が全世界を覆っている現在の社会は、本来「ピュシス的」であった人々の潜在能力が、計量可能な貨幣という基準に置き替えられていくとマルクスが懸念した、その究極の形態なのであることを示しています。

純粋な自然の贈与 (講談社学術文庫)

中沢 新一 / 講談社


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by okphex | 2011-02-06 12:24 | 日々の文章