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by okphex
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2のn乗の先祖。

内田樹氏は、「人種概念」の構築性についての議論の中で、興味深い指摘をしています。

”僕たちの祖先は、親が二人いて、祖父母は四人います。つまり、代を遡っていくと祖先の数は二のn乗になるわけです。
二のn乗ということは、二十五代遡ると、僕の祖先の数は三〇〇〇万を越すわけです。平安時代頃の日本の人口はそんなにいません。つまり、僕の祖先達であるこの三〇〇〇万人の相当数が同一人物であるか、相当数の外国人が混じっていることになります。(略)三十三代遡ると、僕の祖先は八五億人になります。今地球上にいる人間の数より多いんです。”
[内田 2003: 208]
このような事実から、「純血人種」といった概念が、いかにナンセンスであるかということを明らかにします。
内田氏の議論の重要な点は、このような指摘を受けた問題は、しばしば全面的な否定、あるいは全面的な肯定と言ったように、両極端な思考パターンに陥りがちであることにまで議論を展開しているところです。

疲れすぎて眠れぬ夜のために (角川文庫)

内田 樹 / 角川書店


by okphex | 2011-02-04 23:59 | 日々の文章